家族葬エピソード

『自分の葬儀は、湿っぽくしないで大好きなジャズをかけて送ってほしい』
と、奥様に託していらっしゃった故人様。

お見送りは奥様お一人でなさる予定でしたが、長年ご親交の深い地域の方々がおみえになり、
奥様に寄り添いながら共にお見送りをしてくださいました。

ジャズが流れる式場内で椅子にかけられ祭壇のご遺影写真をずっと見つめていらっしゃった奥様の後ろでは、
奥様のお気持ちを察するようにあたたかく見守る地域の方々のお姿。
私どもで用意させていただいた折り紙で、たくさんの折り鶴を密かに折っていらっしゃいました。

お別れの時には溢れんばかりのお花とともに、地域の方々が一生懸命折ってくださった、
たくさんの折り鶴が手向けられ、奥様は感極まったように深く感謝なさっていました。

「お花が好きだったよね～私もいっぱい貰ったなぁ」
「その内みんな逝くんだからね～待っててね～」
「奥さんの事心配しよったから、心配せんで大丈夫よ」
「みんながついてるから」
「大丈夫よ、安心して」
「いい所に飛んでいきよ～」
掛けられるお言葉の数々は優しさで溢れ、和やかな雰囲気に。
寂しさを募らせていらっしゃるように見えた奥様はきっと心励まされたことでしょう。
故人様にとっても幸せな旅立ちとなったように思います。

家族のようなあたたかさで包み、送り出してくださった地域の方々に心動かされた時間でした。

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自分のことより人の事を常に思われてとても優しく暖かで人を愛し愛された故人様。

家族のこと大切にされていた故人様は、警察官の旦那様を支え家庭を守り、
お孫様の成長を暖かく見守ってこられました。

お孫様よりお別れの言葉がありました。
｢いつも私と同じ目線に立ってくれて、お母さんにも言えなかった相談事にのってくれて親友のようでした。
いっぱい心配かけたけどちゃんと大人になりました。おばあちゃん、大好きです。一生愛してるよ｣
と、涙ながらに気持ちを伝える姿に式場にいた全員の目に涙が光っており、私も目頭が熱くなる思いでした。

お花入れでは長女様が涙を流しながらもお花をお供えされ、
｢いつも抱きしめてくれてありがとう｣
と、お声をかけられ故人様の髪にそっと触れられておりました。

ご閉棺の間際、お孫様がお顔に触れられ、
｢おばあちゃんがそばにいてくれたら寂しくないよ。頑張るけん見守ってて｣
と、お別れをされる姿がとても印象に残っております。

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儀式的な事はせずに静かにお別れを。とご希望されたご家族様。
四名様でのお別れとなりました。

喪主をお務めになられたのは、まだ10代のご長男様でした。
故人様がご病気で入院されてからは、故人様のお母様がお子様方のお世話をされていたそうです。
お別れの日の朝、私が式場に入ると喪主様が妹様にネクタイを締めてもらっていました。
ご兄妹の仲睦まじいご様子に、故人様が不在の間、お互いに支え合い、過ごして来られた日々を想像する事が出来ました。

「最後だから、シャンとした姿で送ってあげよう。」
「心配させない様にしないと。」
お二人のお子様は、とても気丈に振る舞われていました。

式場内に音楽を流させていただくと、
「気持ちが落ち着くね。」
と言ってくださり、少しほっとしました。

お別れの時、ご用意させていただいたお花をお柩へとお納めいただいた後、
しばらくご家族様だけでゆっくりとお別れをしていただく為、お柩の蓋を開けたまま私達スタッフは式場を退席しました。

ご出棺の時刻が近づき、再び式場内に入らせていただくと、涙を溢れさせたお二人のお姿がありました。
私達スタッフが初めて見たお二人の涙でした。
そのお姿に、良かったちゃんとお別れをすることが出来て...と安心した気持ちと、
お二人の悲しみの深さを思い胸が苦しくなりました。
「もう苦しい思いしなくて良いよ。心残り、いっぱい有るやろうね。子供達は任せといて。」
故人様のお母様のお言葉を最後に、お柩の蓋がご家族様の手で閉じられました。

お子様お二人の心情を映す様な、今にも泣き出しそうな空の下、
故人様とお二人を乗せた霊柩車は静かにご出棺いたしました...

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式場の中の思い出コーナーには、故人様が飼われていたたくさんの愛犬のお写真や、
お孫様のお写真、そしてご趣味で作られたビーズの人形が飾られていました。
手先が器用で、愛情深いお人柄だった故人様。
お孫様や、愛犬のお洋服等もお作りになられていたそうです。

甘い物がお好きだったとお聞きし、お供えにはおまんじゅうをご用意させていただきました。

お式自体は、ご親族様だけで執り行われた為、ご友人やご近所の方などたくさんの方々が、
最後のお別れにと、お式前にお参りに来られました。
お柩の中で眠る故人様、その傍らには喜寿のお祝いの際の紫色のちゃんちゃんこと人形が納められていました。
お参りに来られ、お顔をご覧になられた方の中には嗚咽を漏らされている方もいらっしゃり、
そのお別れの悲しみを思うと私も胸が苦しくなる思いでした。

お式が終わり最後のお別れでは、ご家族様が折ってくださった、たくさんの折り紙と共に、
色とりどりのお花がお柩へと納められました。
最後に
「お疲れ様でした。」
のお言葉と共に、お母さんへと書かれたお手紙が胸元に置かれお柩の蓋が閉じられました。
故人様のご家族様への愛情、ご家族様や御会葬に来られた方々からの、
故人様への感謝の気持ちとお別れの悲しみが深く感じられるお式となりました。

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式場の祭壇にはご家族様のご希望で、多くの色花が飾られ華やかに、御遺影のお写真を囲んでいました。
奥様がお選びになった御遺影写真は、故人様が嬉しそうな笑顔をされている物でした。

お写真と祭壇をご覧になられた奥様は、
「思っていたよりたくさんのお花で驚きました。お願いして良かったです。」
とおっしゃってくださり、私も嬉しく思いました。

ご家族様は、故人様のご体調が悪化し余命宣告を受けた際には、ご自宅での看護を希望され、
最後まで故人様を支えてこられました。

式場の入り口には、お孫様がお作りになられた、故人様との思い出が詰まったスライドショーを大きな画面で流させていただきました。
スライドショーをご覧になられた方々は、立ち止まり、故人様との思い出を偲んでいらっしゃいました。

お式の時間が近づくにつれ、お参りやお手伝いをしてくれる方々がたくさん来られ、
忙しく動かれていた奥様。
喪主をお務めになられる事で、とても気を張られている様でした。

お式の中でのご挨拶で
「長い結婚生活は波瀾万丈でしたね。自宅医療を通じて家族の絆が一層深まりました。
あなたを誇りに思い、ありがとうの感謝で一杯です。」
と、涙をこぼされおっしゃったお姿に、私も目頭が熱くなるのを感じました。

お式後のお別れでは、たくさんの方々が色とりどりのお花と、思い出のお写真をたくさんお柩へと納めてくださりました。
ご家族様の強い絆と愛情が深く感じられるお式となりました。

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式場に入ってすぐ目に入ったのは、にこやかなご表情の御遺影写真でした。
お柩の中の故人様も、お写真同様にスーツをお召しになられていました。

故人様は数年前に、奥様に先立たれ寂しい日々を過ごされていたそうです。
「写真を探すのは、大変ですね。」
ご家族様が飾られた御遺影写真をご覧になりこぼされたお言葉でした。
離れて暮らされているご家族様にとって、突然訪れるお別れの日は、慌しく忙しい日なのだ...
と、改めて感じました。

ビールがお好きだった故人様。
いつもイカの塩辛と一緒に晩酌を楽しまれていたと伺い、お供えとしてご用意させていただきました。

通夜式、葬儀式が終わり、お花入れではご親族様皆様が祭壇やご供花からお花を選ばれて、
お柩へとお納めになられました。
ビールとイカの塩辛も、一緒にお柩へと納めていただきました。

お孫様方の成長が伺う事が出来るお写真がたくさんお柩へと納められ、
最後に奥様のお写真が、静かに胸元に置かれました。
「やっとまた一緒にいられると、喜んでるよ。」
「お母さんは、もう来たの？って言うかもしれないね。」
と、ご家族様のお言葉に皆様の空気感が和む様に感じました。
そのご様子に、ずっと気を張り詰めていたご家族様を拝見していた私も少しほっとしました。

ご家族皆様でお柩の蓋が閉じられ、ご出棺となりました。

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御遺影のお写真でお召しになっているお洋服の様に、薄いピンクと紫のお花で飾られた祭壇は、
故人様をイメージされた物でした。

ご納棺式では、ご家族様が故人様の手足を何度も何度も撫でながら、
「手も足も、爪の先まで綺麗だね。」
と、話されていらっしゃるお姿が印象的でした。

お棺の中には、故人様が毎日記録として記入されていたノート、ご愛用されていたペンが、
ご一緒にお柩へと納められました。

お柩が花祭壇の前にご移動になると、寂しく無い様にと、故人様の旦那様のお写真が、
お柩の前の机に飾られました。

ご納棺式の後、通夜の日はご家族様だけでゆっくりとお過ごしいただきました。

翌日、故人様がお好きだったとお聞きしていたお菓子をご用意させていただくと、
「わぁ、このお菓子、大好きだったんですよ。」
と、おっしゃっていただきとても嬉しく思いました。

葬儀式の後、ご家族様の最後のお別れでは、花祭壇やご供花のお花を、
たくさんお柩へと納めていただきました。

大好きだったお菓子を納められる際には、
「良かったね。たくさんあるよ。」
と、お言葉をかけられながら、お顔の近くにお納めになられました。

ご家族様だけでのゆっくりとした時間が流れたお式となりました。

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「家族だけでの貸し切りはできますか？」
と、事前のご相談にみえた息子様。
もちろん、できます！と説明させていただきました。

ホントはお父様の、ご友人達も呼んでお別れをして欲しいと思っていたらしいのですが、
お母様が、絶対家族とほんとに近い人との見送りを希望していると言う事でした。
他のご親族友人達には、後で落ち着いてからお知らせをすると決められていました。

お父様が亡くなられ、その日の夜は仮通夜でした。
娘様はお父様の横にお布団をしき、添い寝をされ、ずっと、お父様に語りかけていました。

次の日、納棺師による納棺の儀式が始まりましました。
全て終わりお父様は、とてもすっきりとしたお顔立ちになりました。
それからお柩へと移すときに、娘様から、
「まだ、このままにして下さい。柩に入れるのは嫌だ...」
と、言われ涙していましたので、今晩はこのままお布団に寝ていただいて、
明日の朝お柩へと移すことになりました。
その夜も、娘様はお父様の横で寝ますと言う事でした...

儀式開式直前まで、お柩のふたを開け、ずっと寄り添われている娘様。
お参りにみえた方に、お父様の人となりをお話されていました。
すると、ハサミを貸してもらえますか？と聞かれお渡しすると、お父様の髪の毛を切り、
形見としてとっておくということでした。
ほんとに大好きな大好きなお父様だったんだと、思わずにはいられませんでした。
お母様は、終始見守っており、優しいお顔をされていました。

後日、お会いした時に、
「お母様のご希望通りのお別れができたでしょうか？」
と、お聞きすると、
「母も妹もとてもゆっくりお別れができて満足してました。ありがとうございました」
と、息子様からお言葉をいただき、安心いたしました。

ご家族のご希望に添えるよう、心がけていきます。

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昔から体が丈夫ではなく、色々な病気を抱え、皮膚の病気に関しては難病として認められず、
軽症と言われていたが、仕事もできず結婚もせず、という人生を歩んでこられた息子様を、
ご両親が見送る...というご葬儀に立ち会わせていただきました。

とても穏やかで優しそうなお父様とお母様。

「大変やったね、もう楽になったかな？...」
と、小さな声で語りかけていました。
お二人とも、
「何年も前から覚悟はできてたんですよ...」
と、お話され、
「先に自分達が逝くわけにはいかないと夫婦で励まし合ってきました。」
と、優しい笑みを浮かべられていました。

お寺様から、読経をいただきお別れのときは、静かにとても静かにお別れをされていました。
「病院に行くときは、いつも１万渡してたんです。亡くなってから、部屋を片付けていたら、
そのお釣りなんでしょうね...千円札が何十枚も出てきて　葬儀代は、そのお金でまかなえました。
あの子が自分で払ったようなものです。」
と、少し寂しげに笑いながらおっしゃられていたお二人のお顔を、
今でも思い出すと悲しさがこみ上げてきます。

次の日にお二人で来館された時、お父様が、
「自分の時もここでお世話になりますよ」
と、笑ってお話され、
「まだまだ、先ですよ。お父様はこれからも元気でいてください。」
と、笑いながらの会話となりました。

悲しみを乗り越え、お二人にはこれから少しでも楽しく生活をおくっていただきたい...
と心からおもいました。

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｢お父さん、向こうでゆっくり休んでね｣

頑固で昔気質だった故人様。
長男様は、
｢私たち子供の言うことは聞かないのに母さんと病院の先生の話はちゃんと聞いていました｣
と、故人様の人柄についてお話をしてくだいました。

入退院を繰り返していた故人様...
今回の入院でも回復して退院されると思っていらっしゃった御家族は、急変の知らせに、
とても驚いたそうです。

｢昨日から一睡もしてないの｣
と、暗いご表情をされた故人様の奥様は少し足元がふらつきながらもお柩の近くに向かい、
｢お父さん｣と何度も声をかけられていました。

ご親族がお供えにと、たくさんののど飴とビスコを持参されると奥様は、
｢ベッドの上にいつもビスコを置いていて何時でも食べれるようにしてたんですよ。
大好きで買い物行くと必ず買っていました｣
と、少しご表情を柔らかくされてお話をしてくだいました。

県外のお孫様も駆けつけられ、突然のお別れに、
｢成人式の振袖を見せに行った時はとても元気で次は結婚式の時だねって話してたのに...｣
と、ショックを隠してきれないご様子でした。

最後のお別れではたくさんのビスコとのど飴、そして体調が良くなったら食べようねと、
話していたお刺身をお柩にお供えされ、色とりどりのお花に包まれた故人様に奥様より、
｢お父さん、すぐ行くとは思うけどもう少し頑張るから向こうでゆっくり休んでね。またね｣
と、お声をかけられ爽やかな秋晴れが広がるなかご出棺となりました。

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