家族葬エピソード674:「スーパーおばあちゃん」


明るくてとても優しくおしゃべりが大好きだった故人様。

「なんでも1人でしてパワフルな母でした」
そう語られたのは二男様でした。
何をするにも好奇心旺盛で自立心が強かった故人様は息子様達から見てもすごく逞しい女性だった
と、お伺い致しました。

90歳で北海道
99歳で京都
を、旅行され100歳のお誕生日には社交ダンスを踊られるなど、
自他ともに認めるスーパーおばあちゃんとして、愛されておりました。

陶芸の先生をされていた故人様は、ご自身のお骨壷を手作りされており、
たんぽぽの絵が施された暖かいお骨壷でご家族様からも
「ばあちゃんらしい」
とのお声が聞こえました。

県外から駆けつけたお孫様よりお別れの言葉がありました。
「おばあちゃんが居なくなってしまうことも分かってはいたけど信じたくなくて。
連絡が来た時は何の話をしているのか分からなかったです」
と、涙を堪えながら話し始め、
「これから先、辛いことがあってもばあちゃんが俺たちに見せてくれた力強い生き方を思い出して、
乗り越えて行きます」
と、しっかりとした口調で閉められました。

たくさんのお花と気持ちが込められたお手紙をお棺にお供えされ、お1人ずつから、
「ありがとうございました」
のお声かけがあり、冬の晴れ渡る青空の下ご出棺となりました。


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家族葬エピソード673:「ずっと一緒にいたから」


手先が器用で手芸などが得意だった故人様。
優しく暖かい笑顔でいつも家族を和ませていたそうです。

「ずっと一緒にいたから居なくなるのが想像つかない」
と、悲しそうに呟かれたのは喪主を務められたご主人様。

故人様の切り絵や貼り絵などの作品を一つ一つ額に納められていたのも喪主様で、
飾らせて頂く際に、
「これは何歳の時に作った」「これには1週間以上かかっていた」
と、エピソードを教えてくださいました。

お孫様たちも県外から駆けつけられ式場で寂しそうにされている喪主様に、
「じぃじ!一緒にいよう」
と、明るく声をかけておられました。

お式の中でお孫様よりお別れの言葉があり、
「ばぁばの作るきんぴらごぼうが1番好きだったよ」
「一緒にインコを可愛がってくれてありがとう」
「ばぁばと夜に2人でお酒を飲んだことが思い出です」
と、故人様への思いをお話されておりました。

お花入れではたくさんのお花と、お孫様達が丁寧に折られた折り鶴をお棺にお供えされ、
喪主様がそっと故人様の頬に手を添えられ、
「ありがとうなー。ゆっくり休めよ」
と、声をかけられてご出棺となりました。

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家族葬エピソード672:「姉さんが待ってるから」


物静かで不器用な方だった故人様。
お子様には恵まれませんでしたが、ご夫婦はとても仲良くどこにいかれるのも一緒だったと、
お伺い致しました。
喪主を務められた弟様は、
「兄さんのところには子供がおらんかったけんうちの子供や孫をよく可愛がってくれた。
最後はちゃんと送りたい」
と、話してくれました。

ご兄弟と姪の方たちが来られ思い出話をされていました。
弟様のお孫様は、
「おじちゃんは遊びに行くといつもお寿司に連れてってくれたよなー」
と、お話されるとご親族が、
「おいちゃんには子供がおらんかったけん、あんたが遊びに来ると嬉しかったんやろ。
小さい頃はいつも一緒にお風呂入りよったよ」
と、思い出を話されていました。

お式は滞りなく進みお別れのお花入れでは先立たれた奥様がお好きだった蘭の花をお柩のお手元に置かれ、
「姉さんが待ってるから持っててあげて」
とお声をかけられたのがとても印象に残っております。

ご親族のお子様から、
「おじちゃん、ありがとう。ゆっくり休んでね」
と、声をかけられご出棺となりました。

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家族葬エピソード671:「母の誕生日」


故人様は80代の女性の方でした。

式場にみえた時から大勢のご遺族が共におみえになりました。
小さなお孫様まで早い時間からずっと故人様に付き添われていて、とても仲が良いご家族の様でした。

お子様達は早速、折り紙で鶴や飛行機を折り始め、大人の方達は一筆箋にお手紙を書き始めました。
「お母さん手紙書くね」
「おばあちゃん、蝶々すきかな」
と、故人様を囲みちょっとした小旅行の様な賑わいでした。

ご遺族のお一人が突然、「あ!」と何かを思い出したように小さく叫びました。
「どうされました」と声をかけると、
「これ...」とクーラーボックスから沢山の食べ物をお出しになり、
「今日、母の誕生日なんです」と。

夜は皆さんでお祝いしたいとの事でお供えしていいものをお預かりさせていただきました。
ケーキをご用意しましたら大変喜んでいただき、皆様がご用意された物のそばに一緒にお供えさせていただきました。

葬儀の日の朝、ご挨拶に伺うと、皆さまとても明るい表情で、
「昨日はありがとうございます。ケーキも頂いて良い誕生日のお祝いができました」
と、話しかけてくださいました。とても嬉しく思いました。

出棺までお待ちの間、
「ここにお願いして良かったね。私の時もここにしてね」
という話し声が聞こえ、皆様に喜んでいただけて本当に良かったと思いました

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家族葬エピソード670:「おばあちゃんの好きだったお饅頭」


故人様は80代の女性の方でした。

式場には家族で映った写真が何枚も展示されていました。
どのお写真も家族みんなで映っていて本当に仲の良いご家族なんだな〜と思いました。

小学生のお子様も写真を何度も見ながら、
おばあさまのお写真の前にお饅頭をお供えしていました。
「おばあちゃんが好きだったの?」
とたずねると、
「うん!これ好きやった」
と、輝く様な笑顔で教えてくれました。
「そっかー。じゃ明日これをおばあちゃんに持って行ってもらおうね」
と言うと「うん」と嬉しそうに頷き、早速お母さんに伝えていました。

葬儀の日、お式も滞りなく終え、お別れの時を迎えました。
昨日の約束通り、お子様にお饅頭を手渡すと、
しばらく迷った末、おばあさまのお顔の横にそっと手向けていらっしゃいました。
「おばあちゃん喜ぶね」
と、言うと「うん」とお子様も嬉しそうに微笑んでいました。
その様子をご覧になっていた皆様も笑顔になり、故人様を見つめ、
「なんか嬉しそうな顔になったよ!」
「ほんと、笑ってるわ」
と、あたたかい雰囲気になりました。

出棺の時、ご家族様から、
「ありがとう。とてもいいお式になりました」
と、お声をかけて頂きとても嬉しく思いました。

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家族葬エピソード669:「こんなにお花に囲まれる事ないで」


故人様は百歳の男性の方でした。

式場には百歳のお祝いの品物や賞状が沢山展示されていました。
「素晴らしいですね」
と、隣にみえた喪主である息子さんに話しかけてみました。
すると明るい表情になり、
「この写真はね...」
と、1枚の家族写真を指差し、故人様の8人のご兄妹の順番やお人柄などを教えてくださいました。
途中、「あれ?これは...何番目やったかな」と迷ってしまうこともありましたが...。
お話されている喪主様はとても穏やかな表情をされておりました。

お式が始まり、喪主様のご挨拶では涙で言葉が詰まってしまう事もありましたが、
喪主様の思いは皆様にしっかりと伝わっているようで、どなたも目にハンカチをあてながら...
うんうん。と頷されていました。

お別れでは、とにかく沢山お花を入れてあげようという事になり、皆様で競う様にお柩の中にお花を入れてくださいました。
「お父さんこんなにお花に囲まれる事ないで!」
と、微笑みあっているのが印象的でございました。

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家族葬エピソード668:「妻の覚悟」


故人様は80代の男性の方でした。
故人様に付き添われ式場にみえた奥様は憔悴しきっておられ、顔色も悪く朦朧とした意識でしたが、
気丈に振る舞おうとされておりました。
「色々あったけど、最後はできるだけの事をして送り出したい」
それが奥様のご意向でございました。
その日は日程だけを決め、細かい打ち合わせは明日にしましょうとお伝えしお別れしました。


翌日、お会いした奥様は顔色も良くスッキリした表情をされていました。
「少し休めましたか?」と尋ねると、
「はい。ここ数日分ぐっすり眠ったみたい。スッキリ!」
と微笑まれました。

最初、家族だけだから謝辞はしなくていいと仰っていましたが、
しばらくして「やっぱりするわ」と気持ちの変化がありました。

お柩の中に眠るご主人を見つめ「、
綺麗な顔になったわ。少し笑ってるみたい」
と、皆様に声をかけご覧いただいてました。

お別れの時、奥様は静かにご主人を見つめていました。
一言も言葉を発せずただじっと。
そして吹っ切ったように「うん」と頷き、担当者に、
「お願いします(蓋を閉めて)」と仰いました。

「あぁ、こんなお別れの仕方もあるんだ」
と、長年連れ添ったご夫婦の絆を感じました。

出棺の時、車の中で微笑んで頭を下げる奥様が印象的でございました。

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家族葬エピソード667:「父親の姿勢」


喪主である長男様は遠方からお戻りになるご兄妹のかわりに、お一人で参列の方の対応をされていました。
お一人お一人、とても丁寧に対応されている喪主様を拝見し、
「いつも以上に私もしっかりとお手伝いしなければ」と気が引き締まる思いがしました。


故人様は90代の男性の方。
歳を重ねるごとに趣味を増やしていかれたとの事で、メモリアルコーナーには、
故人様の作品が所狭しと展示されておりました。
お集まりになった親族の皆様はどなたもそこで足を止めてご覧になられ、
「すごいね」「こんなに沢山...」と口々に仰っていました。

喪主様のご挨拶の時皆様へ感謝の言葉を述べた後、故人様の生き様を語られていらっしゃいました。
途中、涙で声を詰まらせてしまう場面もありましたが、気持ちを整えゆっくりとお話しはすすみました。
「決して順風万端な晩年ではありませんでしたが、その都度自分で楽しめる趣味をみつけ、
有意義にすごそうとしていました」と。

そのお話を聞いた時、諦めない強い心をお持ちの方だったんだ...と、
私自身励まされるような気持ちになりました。

最後まで手を抜かずにやり遂げる喪主様のお姿には、お父様の姿勢が受け継がれている様でございました。

出棺の時、喪主様はお見送りの皆様一人一人に挨拶をされ、私達スタッフにも感謝の言葉をかけてくださいました。


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家族葬エピソード666:「祈りながら折った千羽鶴」


半年前に相談にみえられ、
「多分、私一人での見送りになります。」
とおっしゃっていた娘様。
お話をお聞きすると、ご主人を早くに亡くし、県外に住まわれている娘様は体調が悪く、
親戚も皆様住まわれているところは遠く来られるのが大変だと、言う事でした。


お亡くなりになり、お寺様へ連絡をしていただき枕経に来ていただく事になりました。
お父様を亡くされてからの長いお付き合いのようで、ご住職もとても親身になってお話を聞いてくださり、
娘様にとってとても心強かったことでしょう。

「母と犬と私でずっと生活をしてきました。母が亡くなり犬も老犬で...
一人ぼっちになる日を考えるときついです」
と、娘様はうつむき小さな声でお話されました。

ペットではなく家族の一員。
その気持ちは痛いほどわかります。
娘様が落胆する気持ち、でもワンちゃんがいるから今は救われている...というお気持ちも...

なんとか良くなってもらいたいと、お一人で折られた千羽鶴...
今はあまり見なくなりましたがとても丁寧に色も揃えて折られていました。
「必ずお柩に入れたいんです」
と、はっきりと伝えていただきました。

「なんとか良くなってもらいたい気持ちでした...」
と、涙を拭きながらおっしゃっていました。

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家族葬エピソード665:「6親等以上のご親族」


子供様とは音信不通...離婚されてから一人でずっと生きてこられた故人様。
1番近い身内の方は、6親等以上のご親族。

県外に住まわれていた方達がみえたのはお亡くなりになった次の日。
「訃報を聞いて気が動転して来るのが遅くなった」
と、おっしゃっていました。

??気が動転??と私自身は疑問に思いました。
6親等...私からみればとても遠い親戚の人、そう思っていたからです。

「若い頃とてもお世話になって、ホントに良くしてもらったのよ」
「看取りに間に合わなくて、ごめんね」
と、お花を手向けながら涙されるご婦人をみて、胸を打たれました。

人間同士、関係性は様々。
近い遠いは、関係ないとわかっているのに自分の中では、そんな線引きがあったのかと...

「お花をたくさん用意してくれて...ありがとうございます」
と、おっしゃっていただきましたが...
長くこの仕事に携わり固定観念があった自分に気づかせていただいて心から感謝しております。

火葬だけで済ませず、きちんとお別れをしていただけて、本当にによかった...
と、心から思えるお別れでございました。

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