家族葬エピソード846:「最後のツーショットだね」


「親父、ありがとう」
故人様は90代の男性の方。
農業一筋の真面目な方でお孫様を大変可愛がられていたそうです。

優しそうな微笑みを浮かべるご遺影写真の背景は、ご家族の希望で田んぼの風景になりました。
ご親族様が駆けつけ声をかけられるなか...故人様の妹様がお柩に寄り添い、
「兄ちゃん、兄ちゃんが居なくなって兄弟は女ばっかりになったよ。
私は兄弟の中で1番兄ちゃんが好きやったよ」
と声をかけられているのがとても印象に残っております。

お孫様がデジカメで祭壇のご遺影写真と一緒に並んで写真を撮られると
「最後のツーショットだね」
と呟かれておりました。

最後のお別れではお好きだった甘いコーヒーと焼肉をお供えされ、
長女様とお孫様が、そっと胸元にお手紙を添えられました。
たくさんのお花をお柩に入れながら...
「もう兄ちゃんが育てた美味しい里芋が食べれんのやな」
「自慢の里芋美味しかったよ」
と声をかけられ、最後に喪主様より、
「親父、ありがとう。もう心配ないからな。ゆっくり休んで」
と想いを伝えられ...初夏の風が涼やかに感じる晴れの日にご出棺となりました。
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家族葬エピソード845:「まだ、死んでもいないのに...」


お母様が昨日入院され、
「手術をしなければいけない。成功率は五分五分」
と言われ、万が一の時を心配してご相談にみえた息子様。
とても几帳面できちんとされていて、お話すること、質問されたこと等々、書き留められていました。
「まだ、死んでもいないのに...こんな話し聞きに来ていいのか...」
と後ろめたい気持ちが言葉になりました。
ご心配なお気持ちを少しでも、1つでも取り除けるように、お話させていただきました。
すると、初めて笑顔になり、
「そうですね、色々聞いて安心できました。」
とおっしゃっていただきました。

お寺様とは先代からのお付き合いがあるが、最近はあまりお会いしてないと言う事でしたので、
「今のお母様の状況を前もって連絡しといたほうがよいかもしれません」
とお伝えすると、
「すぐにでも連絡します」
とおっしゃり、
「お写真は少し若い頃のでも大丈夫です」
と伝えると、
「用意しといたほうがいいですよね、念の為に。捜しときます」
と...
真面目な性格なんだろうなと感じました。

「手術をするための治療中なんです。今...」
とおっしゃっていた3日後にお母様は、力尽き...お亡くなりになりました。
精一杯の気持ちを込めて、お見送りのお手伝いをさせていただきます...
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家族葬エピソード844:「ごめんなさい。泣いてしまいました。」


着物を作られる程手先が器用で、優しく温かなお人柄だった故人様。
晩年は、旦那様と共にグランドゴルフをご趣味とされ、とても楽しまれていたそうです。

お式の準備に伺うと、お孫様方が折ってくださった折り紙が、籠やお柩の上へとたくさん飾られていました。
お式に来られた故人様のお姉様は、お柩で眠る故人様に
「久しぶりやなぁ。こんなに綺麗にしてもろうて、良かったなぁ。」
と涙されながらも嬉しそうにお言葉を掛けられていました。

お式が始まる前までのお時間、ゆっくりとした時間をご家族様で過ごされておりました。
お式後のお別れでは、
「明るく送り出そうって思ってたんやけど、ごめんなさい。泣いてしまいました。
母さん、今まで本当にありがとう。」
お柩で眠る故人様へ、ご長男様が涙を溢れさせながら、伝えられた最後の感謝のお言葉でした。

ご家族様皆様の、温かい絆を感じられるお見送りでございました。logo_color.png

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家族葬エピソード843:「いい写真や、なぁ?」


数年前にお父様を見送り、今回お母様のお見送りとなりました、娘様。
お父様の時と同じようにごく身近な方のみでのお別れをご希望されました。
お兄様を早くに亡くされており...
「自分がきちんと責任を持って見送りします」
と力強くおっしゃっていただきました。
ご遺影のお写真は、数枚持ってきていただきました。
「この顔が1番母らしいんです。でも、こっちは笑顔で...」
と悩まれながら笑顔のお写真に決められました。
お母様がお元気だった頃、庭で大事に大事に育てられていた紫陽花を背景に決められました。
出来上がりをご覧になると、
「あぁ、ステキです。これにしてよかった...」
と、これまで気丈に振る舞われていた娘様の目に涙が溢れました。
その後、お母様に少し口紅と頬紅をさしていただき、髪を整え お参りにみえられるご友人を待ちました。
ご友人達がみえ、お写真をご覧になった瞬間、
「いい写真やなぁ、紫陽花とかあるんやなぁ、いい写真や、なぁ?」
とご自分の事のように大変喜ばれておりました。
娘様も嬉しそうに笑顔で、
「そうなんよ、好きやったやん、紫陽花。」
とおっしゃっていました。

無事に儀式も終わり、納骨のお話等々させていただき、
「これで安心しました、きちんと見送りができました。」
とのお言葉をいただきました。

故人様のお顔を見てお別れをしたいと思う方だけが集まり、温かなお見送りをしていただけてよかったと、
「こちらの方こそ安心いたしました。」
とお伝えいたしました...logo_color.png

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家族葬エピソード842:「寂しくないね。」


祭壇の中央に飾られていたのは、故人様が入院中にご家族様が写されたお写真でした。
お写真の中の故人様は、溢れんばかりの笑顔をこちら側へと向けられていました。
式場では、故人様のお姉様が折り紙を折ってくださっていました。
「指輪を折って、持って行ってもらおうと思ってるんです。
よく指輪つけていたから...明るく、少し茶目っ気がある妹でした。
この遺影写真も、本人がこの写真が良いって選んだんですよ。」
瞳に涙を溜めながらも、明るくお話ししてくださいました。

お柩の中には、故人様が可愛がられていた小鳥の換羽の羽がたくさん納められていました。
その小鳥の羽を拝見し、私達スタッフも折り紙で小鳥を折り飾らせていただきました。

お式が終わり、お別れの時...
お柩の中には故人様が袖を通すのを楽しみにされていた、お勤め先の新しい制服が、
職場の方々のご意向で納められました。
また、お別れのお花と共に、たくさんのお供えや、お姉様方ご家族様が折られた折り紙と共に、
私共スタッフが折った小鳥の折り紙までお納めしてくださいました。
「たくさん持って行けて良かったね。寂しくないね。」
優しい手つきで、頬を撫でながら掛けられたお言葉でした。
お柩の蓋が静かに閉じられ...お別れの悲しみに包まれながら...ご出棺となりました。
お式に来られた皆様方の、故人様への深い愛情を感じられるお式でございました。logo_color.png

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家族葬エピソード841:「お袋、お疲れ様でした」


「お袋、お疲れ様でした」
故人様は90代の女性の方。
優しく面倒見がよく、ご結婚するまでは教師として子供たちと過ごしてこられた故人様。
手先が器用で、編み物が得意だった故人様。
ご主人や息子様たちに手作りのセーターを作られていたとか...
「歳の近い兄弟だったからいつもお揃いのセーターで嫌だなーって思ってたんですけど、
大人になった今思うと手間のかかることだし愛情がこもってたんだなと感じます」
と長男様がお話をしてくださり...母の深い愛を感じました。

ご親族様も駆けつけられてお柩の中のお顔をご覧になられると、
「綺麗やなー」「写真よりも若く見える」
とお声をかけられておりました。
納棺師による綺麗なお化粧...
オレンジ色に近いピンクの口紅がとても似合っておりました。

最後のお花入れではたくさんのお花と故人様がお好きだった天ぷらをお供えされ...
「生きている時もあんまり触ったりしなかったけど最後だから触っとこう」
と故人様の頬にそっと触れられ...
「冷たいね。長い間ありがとう」
とお声をかけられて...
涙雨がぽつりと降るなかでのご出棺でございました。

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家族葬エピソード840:「思うまま納得のいくまでお別れができました」


故人様は50代の男性の方でした。
発病からたったの1年で...と奥様は途方に暮れたご様子でした。
涙もなく...ただぼーぜんと故人様の遺影写真をみつめておられました。
お子様方も同様で、まだ実感が無いようでした。

お柩の窓はいつでもお会いできるように開けたままにしていましたが、側に行く事もなく、
ただただ残されたご家族で寄り添いあっていらっしゃいました。
(このままのお別れなんだろうか...)
気になりつつもお声掛けできないまま、通夜の夜を迎えその日はお別れしました。

次の日の朝ご挨拶に伺うと、少しだけ気持ちを取り戻したような表情の皆様がいらっしゃいました。
まだ、会話を交わすまではいきませんでしたが...
これからのお式やお別れに対してのご希望を教えて下さり、安心いたしました。

お別れの時...
お柩の蓋を開けた途端に押さえていた気持ちが込み上げてきたご様子でした。
皆様涙を流しながら好きだったお花を丁寧に手向けていき、
「おつかれさま。おつかれさま。」
と頬を撫でていらっしゃいました。

離れ難いご様子に、時間いっぱいまでお別れをしていただく事に...

ご出棺の時...
「思うまま納得のいくまでお別れができました」
と、頭を下げてくださり、嬉しさと共に安心いたしました。
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家族葬エピソード839:「かすみ草で沢山にしてあげたい」


闘病生活、一年と数ヶ月... 病には勝てず...
今回お見送りをさせていただいたのは、50代の女性の方でした。

ご主人と3人の子供様、ご親族様だけでの、お見送りでございました。
ご納棺の時から入らせていただき、皆様がこの現実を受け入れているご様子が見受けられました。
こ納棺後、度々、お柩の傍に行かれて、じっと故人様を見つめられているのが印象的でございました。
お柩の中には、洋服や折り鶴、可愛らしいお花のブーケなどが一緒に収められておりました。

葬儀の日の朝、ご主人様より、
「最後は、かすみ草で沢山にしてあげたいのですが...出来ますか? 
ピンクのカーネーションも入れてあげたいのですが...」
とご希望で、祭壇や、ご供花の中より、ご希望のお花を手向けていただきました。
お顔の周りには、胡蝶蘭を...

前日から見ていて、終始冷静なご家族様でしたが、皆様、涙を流されて最後のお別れを惜しんでおられました。
最後に、ご主人様が、奥様のお顔を両手で、優しく包み込むように、触れていらっしゃっり、
見ているこちらも、胸に込み上げてくるものがありました。

輝く青葉に優しい風の吹く中...お見送りとなりました。
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家族葬エピソード838:「なしかい、なしかい」


1年程前に、ご親族様をお見送りされ、今回は違うご親族様のお見送り。
最初の時に、事前相談をさせていただいており、覚えてくださっていて、
「今回もまた、お願いする事になりました。あの時は事前に相談していて良かったと思ったんです。」
その様に仰っていただきました。

故人様は、70代の男性の方でした。
特に病気などはしておらず、急に体調が悪くなり帰らぬ人となりました。
ご家族様のショックはかなり大きく感じられました。
「家族葬で。」との事でしたが、ご友人様達もお参りにおみえになりました。


葬儀式の前には、故人様のお好きだった音楽を...
お式の中では、故人様の姪の方より、お別れのお言葉がございました。
最初に皆様に向けてのお言葉...
そして故人様へ向けてのお言葉を述べられておりました。
「なしかい、なしかい。」
今まで皆様の事を気遣い...よくおっしゃっていたそうです。
とても心に残るお言葉でございました。
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家族葬エピソード837:「うわぁ〜ばあちゃん喜びます!」


大正、昭和、平成、令和と4つの時代をたくましく生き抜いて来られた故人様。
お子様たちは先に旅立たれ、お孫様が喪主様をつとめられました。
『長生きをし、支えになってくれた故人様を最後は華やかなお花一杯の祭壇で送ってあげたい。』
そんなご要望で祭壇のお花は華やかな洋花ばかりの祭壇をご用意させて頂きました。

祭壇に飾られたお写真はとても穏やかに微笑まれたもので、普段着のお着物を着たお写真でした。
入院されてからはずっとパジャマで過ごしておられたそうで、
最後の旅立ちのお召し物には、パッとお顔が明るく見えるエメラルドグリーンのお着物を
お孫様が選ばれ持って来て頂き、ご納棺の際に着て頂きました。
「ばあちゃんが一番気に入っていた着物です。」
お気に入りのお着物を着られ華やかになったお姿に大変嬉しそうにしておられました。

60代まで看護師と施設でお仕事をされながらお子様達を育て上げられた故人様。
80代で、看護学校時代の友人とお孫様たちのと満州へのご旅行が一番の思い出になったとおっしゃって、
「また、皆で旅行に行きたいねぇ〜。」
と、度々言われていたそうです。

晩年は、レース編みや、大正琴をご趣味とされ、数年前まで楽しくされていたとか...
メモリアルコーナーには編み棒とレース編みの作品、現役時代に使われていた聴診器を飾らせて頂きました。

お好きだった物は、中華料理と、
鹿児島出身でいらした故人様が子供の頃から召し上がっていた名産のさつまあげ。
そうお伺いし、エビチリとさつまあげをご準備させて頂きました。
「うわぁ〜ばあちゃん喜びます!」
お孫様方の嬉しそうな笑顔に私共も思わず笑顔になりました。

お式は粛々と進み、最後に喪主をつとめられたお孫様より...
一緒に時を過ごされた時間を思い出すようにお話があり、参列された方々へお礼のご挨拶をされました。
お別れの時、華やかな祭壇のお花を全て皆様に納めて頂き、エビチリとさつまあげも納めて頂きました。

お孫様皆にお手伝い頂き、お車へお乗せして、ご出棺致しました。

お一人になられた故人様の大きな支えになっていたお孫様達に見送られ、とても嬉しかったのではないでしょうか。
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