家族葬エピソード

今回はとても辛く悲しいお葬儀でした。
やっと2歳になったばかりの女の子。
この2年の歳月を明るく楽しく過ごされた証の家族写真が、哀しみを一層深くさせていました。
ご両親は打ちひしがれ、お柩の中に眠る我が子に泣きながら頬ずりし...
「起きて！起きて！」と声をかけていました。
ご親族の方々もそんな2人にかける言葉がなく、ただただ辛い表情で見つめていました。
私達スタッフもご親族にすら声をかける事が出来ず、できるだけそっとしていようということになり...
その場を離れました。

お式は滞りなくおわり、お別れの時間では、小さなお柩にお花とお菓子やおもちゃ、
お子様が寂しくないようにと沢山の物がおさめられました。
涙が枯れることはなく、お柩のふたが閉じられる時...
「またね」「また会おうね」と悲しいお別れの言葉がかけられていました。

最後に祭壇に飾られていた沢山の風船を皆様に持っていただき、一斉に空に飛ばしていただきました。
フワリフワリと大空に飛んで行く風船を見つめながら...
「あぁ...あの子みたい！」「元気に走って行った」
とご両親が仰ると、ご親族様も「また会おうね〜」と手を振りお見送りされました。
風船が見えなくなるまで、しばらく空を見つめていました。

出棺の時...喪主様はご挨拶で、
「今は無理だけど少しずつ現実を受け止め前を向いていきます」
と決意され式場を後にされました。

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社交的で誰からも好かれる明るいお父様でいらっしゃった故人様。
大きな夢を抱き、中学卒業と同時に自らの強い意志で大工の道へと進まれました。
厳しい現実に苦労しながらも努力が花開き、仕事仲間からは、
『道具を大切に扱う腕の良い職人』と評判だったそうです。

ご家庭を持ってからは家族のために朝から晩までお仕事に励み、国家資格を次々と取得するため猛勉強の日々。
お忙しいなかでも子育てに手を抜くことなく、積極的に参加なさいました。
よく勉強をみてくれたり様々な場面で成長に手を差しのべ、自分の時間を削ってまでも、
我が子のために惜しみなく時間を費やしてくれたお父様の優しさや愛情に、
子供様方はあらためて感謝の想いを深めていらっしゃいました。

ご家族のみなさまでお父様を囲み、誰にも気兼ねすることなく家族だけの時間を過ごされた3日間。
家族を心から愛し尽くしてくれたお父様への溢れる想いと絆がご家族のみなさまから窺えました。

夢や目標、守るものがあるからこその努力、成長、幸せに繋がっていることを、お父様の生き様から教えていただいたように思います。

労いと感謝のお言葉とともに、お父様が後ろ髪を引かれることなく安心して旅立てるように、
たくさんのお声掛けがなされ、旅立ちをあたたかく包み、たくさんのお花で見送られました。

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一年程前お母様のお見送りをお手伝いさせていただいたご縁で、この度お父様のお見送りを、
御依頼いただきました。

ご夫婦で同じ施設でお過ごしでいらっしゃった晩年。
息子様から見たご両親は歳を重ねてもなお仲が良く、お母様が他界されてから、
『母さんはどうしてるのか？』と聞かれても、日に日に弱っていくお父様のお姿を前に、
伝えられないまま別れの日を迎えることとなったそうです。

後悔を残しながらも...
「先に逝った母が今ここに迎えに来てくれてる気がします。ユーモアたっぷりの2人だったので、
ビックリして『お前死んどったのかー』って大笑いしているのではないかと思います」
穏やかな笑みを浮かべお話ししてくださいました。

口数は少ないながらも、周りを自然と優しい気持ちにしてくれる温厚なお人柄で、
家族と過ごす時間をなにより大切にしてくださったお父様。
溢れる面影にはたくさんの思い出があり、そこにはいつも仲良く寄り添うご両親のお姿が、
印象深く刻まれていました。

旅立ちにはたくさんのお花とたくさんの家族写真が手向けられ、これまでの感謝のお気持ちとともに、
ご両親がまた一緒に幸せに過ごしてくれることを願い...
お母様の元へお父様を送り出す時間はとてもあたたかく優しい時間が流れていました。

これからもきっと、ご家族のみなさまが歩まれる道をご夫婦仲良く見守ってくださることでしょう。

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故人様は、若い頃から多くの趣味をもち、海外旅行、舞踊　書道　人形作りと、
バイタリティ溢れる人生を謳歌された方でした。
思い出コーナーには、ペチコートまで細部丁寧に作られたかわいいお人形たちが並び、
高崎山を描いた絵、きれいな字で書いた俳句などが展示されました。
喪主様たちは、嬉しそうに一つ一つを眺めながら皆様にお話をされていました。
お母様のこれまでされてきたことを思い出されながら...
今回の喪主様ご夫妻は、全ての葬儀社を回り、事前にご相談され、ご依頼をしていただけた方でした。
「明解でわかりやすいプランの内容と、納棺師が決め手となりました」
とお話しくださいました。

お母様は薬の作用で浮腫みがあり、お顔に少し傷がありました。
少しでもきれいに...という想いもあり、お着せするのはとても気に入っていたピンクのお着物。
納棺が終わりそのお顔、お姿をご覧になった喪主様たちは、驚かれたご様子で...
「こんなにキレイになるんだね、傷もわからなくなっている。すごいなぁ」
と大変喜ばれていました。
やはりここを選んで正解だったとおっしゃっていただきました。

ご葬儀の最後に喪主様からのご挨拶となり、これまでのお母様の人生、
そして納棺師の素晴らしさを語ってくださいました。

ご家族皆様がとても良いお別れができたとご満足していただけたようでした。
ご出棺時に、
「一棟貸し切り、孫達も気兼ねするとこなくゆっくりできました」
と笑顔で言っていただき大変嬉しく思いました。

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どんなことにも真摯に向き合い、社会の要として誇りと責任感、情熱をもって、
現場を駆け巡ってこられた故人様。
仕事に向き合う姿勢や卓越したセンスは周りの方々の良きお手本となっていたようで、
一線を退いてもなお現場復帰の声がかかるほどいつも頼りにされていらっしゃったそうです。
『背中を見て覚えろ』
と言葉ではなく行動で示し、自ら学ぶことの大切さを身を以て教えてくださった昭和の男だったとか。

お仕事を離れれば、ご家族を大切にする大黒柱。
気難しい一面もありながら、お孫様の前ではいつも頬を緩ませ、並々ならぬ愛情を注いでいらっしゃいました。

お柩に眠るお父様の傍で、尽きることのない思い出や感謝の想いを私どもにもお話ししてくださったご家族のみなさま。
たくさんのお供えものとたくさんの思い出話が、穏やかに流れる時間を和やかにあたたかく包んでいました。

お別れの時。
込み上げる寂しさを堪えきれず嗚咽を漏らし、幾度となくお声を掛けられるお姿がありました。
「『しゃあしい！あっち行け！』ち言わんのやな...」
賑やかな家族の和の中心でいつも照れ隠しのようにおっしゃっていたその声がもう聞けない現実は、
寂しさをより一層募らせているようでした。

涙ながらに優しくお顔に触れ、たくさんのお花とともに添えられたのは手作りの"天国行きの切符"。
悲しみの中にもお父様を想うご家族様の愛情に、胸がいっぱいになりました。

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故人様は70代の男性の方でした。
なかなかご親族の方に連絡がつかず心配でしたが、やっと県外で暮らしているお子様と連絡がとれました。
お話を伺うと、もう10年以上音信不通だったそうですが、急いでこちらに向かうとの事...
真夜中のご到着でした。
ホテルをとることもできましたが、式場に宿泊され、二日間故人様に寄り添われていました。

「好きな食べ物も良い思い出も思い出せないな〜」
と、苦笑いされていた息子さんでしたが...
「コレだけはね」
とコンビニで買ってこられた焼酎とおつまみをお父様の枕元にお供えされました。
息子様とその奥様のお二人でのお見送りになりましたが、最後にちゃんとお別れができて良かったと、
目を潤ませながら伝えにきてくださいました。

お柩の中に沢山のお花、それと好きだった焼酎とおつまみをおさめて...
長い間会えなかった時間をうめるように3人で静かにお話されていました。

会場を出発される時「ありがとう」と微笑んで下さった事がとても印象的で嬉しく思いました。

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「お前がおらんと寂しい」
故人様は70代の女性の方。
陽気でいつも笑顔なお母さんだったそうでご主人と始めた飲食店で女将さんとして、
共にお店を切り盛りしていたとお伺い致しました。

ご遺影写真はエプロン姿で笑顔のお写真でした。
「お母さんはこのユニフォーム姿が1番やね」
と娘様がお柩にもお店のエプロンをお供えされておりました。

年上のご主人はとても憔悴されており...
お柩の近くに行くたびに「なんで先に...」と涙を流しながら呟かれているお姿が、
とても印象に残っております。

お孫様、ひ孫様も駆けつけられ早すぎるお別れにショックを隠しきれないご様子でした。
小さいお子様もお別れのことがわかってる様子でしたが賑やかなことが好きだった故人様のために、
明るく振舞って式場内和やかな雰囲気でした。

最後のお別れではたくさんのお花とお好きだったチョコレート、
みんなでよく食べていらっしゃったアップルパイをお柩にお納めされると喪主様が、
「お前がおらんと寂しい...俺はこれからどうして行ったらいいんや...」
と泣き崩れられ...故人様にしがみつかれておりました。

娘様がそばに駆け寄り、
「お母さん、お父さんのこと心配やと思うけどみんなで支えていくけん。大丈夫だよ」
と声をかけられて...お別れとなりました。

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今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は100歳の女性の方でございました。
喪主様はお二人姉妹の二女様がつとめられました。

「100歳まで生きていてくれて皆は『ここまで生きて大往生や』と言うけど、
施設に入って皆さんと楽しく過ごしているのを見てきたし、
いつまでも生きていてくれるものだと思っていたし願っていたんだけど...。」
何度もお柩の側に行かれては、綺麗にお化粧されたお顔を見られて、
『綺麗になったよ～。綺麗だよ〜』と話しかけられておりました。

ご主人と農業をしながら書の勉強をされ、99歳まで毎年手書きの年賀状を書いたり、
お洒落も大好き、海外旅行にも行かれるほど社交的で好奇心旺盛だったそうです。
アメリカ、ハワイ、香港と皆さんで行かれた旅行はいつまでも心に残る思い出だったそうで、
施設に入られてからも何度も、何度も『楽しかったんよ』と施設の皆様におっしゃっていたそうです。
記念日ごとに撮られたお写真はどれも楽しそうで、お誕生日のお写真や、
100歳のお祝いの記念写真をメモリアルコーナーに飾らせて頂きました。

大好物は黒砂糖。
コーヒーにも黒砂糖をたっぷり入れて飲まれていたそうで、黒糖万十、黒砂糖、
黒砂糖たっぷりのコーヒーをご準備致しました。

お式の終わりには二女様と、ご長女様が一緒に感謝のお気持ちのこもったご挨拶をされました。
皆様に祭壇のお花、折って頂いた折り鶴、お供えを入れて頂きました。
お供えを入れながら手を叩き、涙を流して感激されているお姿がとても印象的でした。

ご姉妹でお車に乗られご出棺...
皆様の『大往生』のお言葉とは裏腹にお二人の寂しさが伝わるお式でございました。

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お父様を数年前に亡くされ今回はお母様のお見送りをされる喪主様。
まだお若い30代の娘様。
ずっとお一人で付き添われていました。

お母様のお若い頃のお写真や大好きだった御朱印集め...
御朱印帳は10冊以上もあり、それらを並べられ眺めていらっしゃいました。
多くは語らない喪主様でしたが、御朱印帳のことはとても雄弁にお話ししてくださいました。
ご葬儀でお経をあげていただくお寺様にも2度3度と訪れていたようで、そのご縁を大変喜ばれていました。

東京から故人様のお兄様も駆けつけられ...
コロナ禍で、会いに行っても顔を見れなかった悔しさを1番に口にされました。
しかしその後はかわいい妹様を想う気持ちや沢山の思い出をお話ししてくださいました。
10年前まではラジオのパーソナリティを務めていたこと、
自分に会いに来たと喜んでいたら、実は御朱印を集めることか目的だった、
と懐かしそうにお話され、それをニコニコと楽しそうに聞いている娘様でした。

お二人から一つ頼みがあるとお話の最後に１枚の紙をお預かりしました。
故人様は長く病気療養をされていて、自分なりの終活をしていたということ。
その一つとして戒名アプリでご自分の戒名を考えて決めていると伝えられました。
それでできるならお寺様にこの戒名でお願いしたいということでした。
お寺様は気持ちよく快諾してくださり、位牌に書いてきてくださいました。

葬儀にはご友人の方達もみえられ、早すぎる別れに涙涙となりました...

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「何か...お父さんってこんな顔だったかな？」
お部屋にお邪魔した時に祭壇のお写真を見ながら奥さまと娘さまたちがお話されていらっしゃいました。
「病院にいた時のお父さんの顔がお父さんでこの写真のお父さん別の人みたいやな...。」
「本当！何か変な感じだね〜。病院のお父さんしか見てなかったから...
昔のふっくらした写真が違う人みたいに感じるんやわ。」
クスクスと笑いながらお写真とお棺のお顔を見比べていらっしゃいました。
ご入院される前のお写真をご遺影写真としてお作りさせて頂いたので違和感があったようでした。
「こんな時もあったんだね...。」
とつぶやかれた奥様が色々思いを巡らせておられるようでとても寂しそうでした。

長い間長距離トラックドライバーをされながら大黒柱として家族を支えて働いて来られた故人様。
入院される前はお酒が好きで晩酌には焼酎を飲まれておられたとか。
ご趣味は釣り。
釣り糸を垂れ静かにみちひきする波を見ている時間がとても好きだったそうです。

ご家族様4名様でのお見送り。
ゆっくりと、皆様それぞれの思いがこもったお式となりました。
「大声を出す事もなく、喧嘩しても次の朝には『おはよう』と声をかけてくれるような優しい夫でした。」
そうお話された奥様はとても寂しそうでした。

お別れの時...
たくさん折って頂いた折り鶴と共に最後に召し上がった思い出のハンバーグ、
お好きだった焼酎、祭壇のお花をお声掛けして頂きながらお柩に納めて頂きました。

ご出棺の時...
「頑張るよ。」
ポツリとつぶやかれたその一言に奥様の愛情と想いの深さを感じたお式でございました。

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