家族葬エピソード

故人様は80代の女性の方でした。
朝、ご葬儀の準備をさせていただく為、お部屋を訪問すると、皆様お柩の中を覗き込みながらワイワイと賑やかなご様子でした。
「おはようございます。どうかされましたか？」とたずねると、
「いや〜（故人様の）顔を見ながら、色は白いし鼻筋は通っちょるし、今、1番良い顔しちょんな〜ち、はなしよったんよ〜」
と、1人の女性が答えてくださいました。そしてその言葉を聞いた周りの方々から、どっ！と笑い声が上がり、
「そうそう！今が1番良いっちいいことよなぁ〜」と、とても和やかなご様子でした。
（この和やかな雰囲気と楽しい会話、故人様もそばで聞いてくださっていたらいいな）と思いながらしばらく皆様と一緒に過ごさせていただきました。
お式が始まって、お寺様も交えても雰囲気は変わらず、まるでご自宅にご親族が集まっている様でした。
お寺様も私達スタッフも親族の様に...。
こんなにリラックスしていただけたことがとても嬉しく、（あぁ、こんなお見送りもいいな...）と心があたたかくなりました。
出棺の時、お別れが寂しくもありましたが、車の中からにこやかに手を振ってくださる皆様に、今回お会いできて本当に良かったと思っています。

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今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は８０代の男性の方でございました。
喪主様はご長男様がつとめられました。

寡黙でとても真面目でいらした故人様。
祭壇のお写真も、頼り甲斐のありそうなとても優しい微笑みのお写真でございました。
１０年間お勤めされた運送会社を退職され、そのノウハウを生かして今の会社を立ち上げられたそうです。
「会社を始めた頃は、山あり、谷ありで色んな事があって『あぁ、もう駄目かも』って思い悩む事もあったけど家族のために踏ん張って一生懸命働いてくれたのよ。」
思い出コーナーに飾らせて頂いたお仕事中のお写真や、お孫様と行かれた各地の旅行先での記念写真をご覧にならながら話してくださいました。
会社のお仕事以外でも農家として奥様と二人でみかんを作っていらしたそうです。出来たみかんは皆様に配られ、特にお孫様の『おいしいよ』には目を細めて喜ばれていたそうです。
お式には多くのご親族と、仲良くされていた地区の方もたくさん来て頂き、色々なところに旅行に行かれたお写真を見ながら、奥様を気遣っておられました。
お式ではお孫様４人から
「自慢のじいじで、じいじの孫でよかった。」
と、尊敬や感謝、愛情の溢れるお別れの言葉がありました。
お別れの時、祭壇のお花とたくさんのご供花をご親族様、地域の方でお柩に納めて頂きました。お別れの言葉を言われたお孫様も一生懸命書かれていたお手紙をそっとお柩に入れていらっしゃいました。

澄み渡る青空の下たくさんの方に見送られてのご出棺となりました。
故人様のお人柄が伺えるお式でございました。

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「昨日、雨が降ったり風が吹いたりで今日どうなるか心配したんですけど、やっぱり義母のこれまで生きて来た行いが良かったんでしょうね。こんなにいい天気になって。」
ご長男の奥様がお見えになり、準備をしていた私共におっしゃいました。

今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は９０代の女性の方でございました。
喪主様はご長男様がつとめられ、ご長男の奥様、二男様の３人でのお見送りでございました。
県外に住んでいらっしゃるご長女様は、現在の状況を考えられ帰って来られるのを控えたそうです。
皆様と一緒にご納棺のお手伝いをさせて頂きましたが、寡黙なご兄弟にかわって,ご長男の奥様が
「お義母さんお疲れさまでした。綺麗になりましたよ〜さっぱりしたでしょ？」と、
お世話をしているかのようにずっと話しかけていらっしゃり、悲しみで沈みがちになってしまうご兄弟のムードメーカーのようでした。
「芯が強くて、でもとても可愛らしい義母でした。祭壇の花も女性らしくて、棺もピンクで可愛らしい。良かった。」
と、祭壇のお花、お写真、お柩と大変喜んで頂きました。
お別れの時、皆様にお花と、好きで沢山集めていらした犬のぬいぐるみを入れて頂きました。
ご兄弟が、
「かあさん、ありがとう。」
と、お声掛けされ、
「お義母さん。ありがとうございました。綺麗なお花に囲まれて凄くいい匂いでしょ？
お義父さんに逢ったら二人で仲良くしてくださいね。」
と、ご長男の奥様がお声掛けされながら、そっとお顔を撫でられ、皆様でお蓋を掛けて頂きました。ずっと隣におられるかのように優しく故人様に話しかけられておられた奥様のお気持ちに胸が温かくなるお式でございました。

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残された時間を知りながら前向きに過ごし、慣れ親しんだご自宅で最愛の奥様の手をギュッと握り、静かに終焉をお迎えになられたご主人様。
朝、式場へ入ると、ご主人の眠るお柩の前で何度も何度もお声を掛けられる奥様のお姿がありました。
はじめは離れた所から見守っておりましたが、言葉にならない苦しい想いがその背中から伝わり、引き寄せられるように傍へ行くと、ご主人との思い出をポツリポツリと語ってくださった奥様。
一度も笑顔や涙を見せることなく、ただただ無表情にご主人を見つめ、憔悴されたご様子でした。
喪失との向き合い方は人それぞれ異なりますが、悲しみがあまりに深すぎて涙すら出てこない......奥様の心は想像以上に弱っているように感じました。
ご主人と言葉を交わすことも、触れることもできなくなりましたが、ご主人はいつも奥様の心の中に存在し、これからもずっとそばにいて励ましてくれる存在だと思います。
これからお一人で過ごされる奥様の心身のことを思うと、不謹慎かもしれませんが,
『泣いてほしい...』心からそう思い、ナレーションを１から作り直してお伝えすると、涙を拭われるお姿が。
お別れの時、
「これからが私とお父さんのスタートよ...。お互い頑張ろうね」
ご主人へ添えられた奥様のお言葉が、とても心に響きました。

「ありがとうございました」
奥様から掛けて頂いたお言葉と、少し前を向いたような明るさを取り戻した表情に安堵を覚え、添い遂げたご夫婦の大きな絆を感じずにはいられない時間でございました。

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今回お手伝いさせて頂きましたのは80代の男性の方。

｢本当に頑固で人にも自分にも厳しい父でした。
だけど家族のことはとても大事にしてくれました｣
沢山飾られたお写真に目を細めながら、故人様についてお話してくれたのは長女様でした。
ご自宅にご安置をされ、会館へとご移動するときに伺ったご自宅にはご家族の写真やお孫様からのお手紙が沢山飾られており、ご家族への想いを感じました。
エンディングノートを作られていた故人様のご希望通りに奥様と3人の娘様が話し合い、お式の形を作っていかれました。
ご遺影写真は故人様のたっての希望で、お孫様が撮影された笑顔の写真。
その眼差しはとても優しく、お孫様を大切に思われていたことがよく分かるお写真でした。
1日60本以上吸うほどの愛煙家だった故人様は、お体を心配するお孫様のためにキッパリとタバコをやめられたそうで、お写真には3人のお孫様を抱きしめるお姿が写っており、とても印象に残っております。
最後のお別れでは、お孫様が故人様への思いを綴られたお手紙をお柩に入れられ、娘様たちからは一言ずつお別れの言葉を伝えられました。
大好きだった石原裕次郎の｢我が人生に悔いなし｣を聴きながらのご出棺となりました。

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｢お母さん　素敵よ。ゆっくり休んでね｣

90代の故人様に丁寧に化粧を施されたのは長女様。
しっかり者でオシャレな女性であった故人様は,ご主人に先立たれてから,おひとりで生活をされ、お近くに住まわれている長女様が時折様子を伺っていたそうです。
介護が必要となり施設に入られてからも穏やかな生活を続けられたことを長女様からお伺い致しました。
亡くなられた日は血圧も安定しており、ワクチンをいつ接種するかを施設の方とご相談されていたところで、
｢顔色も良くて『お母さん、また来るね』って声をかけたんです。その夜に連絡が来てびっくりしました｣
と、お話してくださいました。
ご納棺の際にお体を拭かれると、
｢ああ、腕も足も細くなったなぁ。お疲れ様でした｣
と、長女様のご主人がおっしゃると長女様は静かに涙を流されていました。
お式には県外から二女様も駆けつけられ、お別れのお花入れではたくさんのお花と故人様がお気に入りだったワンピースをお供えをされて、ご出棺となりました。

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昨年、お父様を亡くされた娘様。
お母様も入院されていて、状態があまり良くないとご相談にみえました。
今のこの時期、全く面会が出来ず、病院に行っても洗濯物を預かり渡すことしか出来ず、「少しでも顔が見たい、、」と悲しげに話されていました。
「せめて、コロナが落ち着き顔を見て、お別れが言いたい、手を握って天国に旅立って欲しい...今はそのことを祈るだけです。」と、
涙を拭きながらお話されていました。
「祈るばかりなんです...」と。
しばらく連絡がなかったので、よかった、頑張ってらっしゃるんだ、もう少しもう少し頑張ってください、と思っていました。
亡くなられたと連絡があったのは半年後でした。
すぐに娘様にご挨拶に行きました。一度回復され、リハビリをはじめて、その時に久しぶりにお顔を見てお話ができた事、そしてまた悪くなり、、半年間で2回だけ会えました、と肩を落とされお話ししてくださいました。
「苦しんでいる姿を全く見てない、お布団に横になってるけど、ホントに亡くなっているのかと、実感がありません。このまま家に連れて帰りたい想いにかられます。頭ではわかってるんですけどね」
と目頭をおさえ話される娘様。
「最後は、悔いの残らないように今日の夜ゆっくりお別れをして、明日きちんとお見送りをしましょう」
と言う事しか出来ない自分が情けなく思えました。
いつになったら、こんな思いをしなくて良くなるのか、、せめて最後のみとりに立ち会える日が一日でも早く来ますようにと、心から思いました。

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今回の故人様、お父様はわたくしの父と生まれ年と月まで一緒の、90歳を目前まで頑張って生きぬいた方でした。お話を聞いていると、ガンコで強いお父様像が共通するところが多く、色々な面で共感していました。
若い頃はトラックに乗っていて、何処に行くにも車！旅行の時はもちろん、喪主様が横浜に住んでいた頃はよくマイカーで遊びに来られていたと言う事。
運転にはすごい自信があり、入院するまではずっと乗られていたようで、
「うちの父も運転にはすごい自信をもっていて、もうすぐ免許返納するんですけど、とても淋しがってます」と言うと、
「わかりますー、体が元気なうちは運転したがりますよね、、」
とお元気な頃のお父様を思い出されているようで、懐かしそうにされていました。
奥様がお元気な頃は温泉旅行にも、よく行かれてたそうです。
お一人になってからは、地域の方達と、レクリエーションに参加され、お一人暮らしを楽しく生活されていて、
「あまり心配はしてなかったんですけどね、、」と、
お話をされる喪主様の目にはうっすらと光るものがありました。
苦しい治療に耐えて、昭和一桁生まれの男気で頑張ってこられたお父様。
「今は母にも合えて穏やかな表情になってると想います。」と、
喪主である息子様はご出棺前には安堵の笑みを見せられていました。

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ご家族様がご用意されたのは、2冊の分厚いノートでした。

そのノートは、故人様が長い時間をかけて写経された物でした。

祭壇に飾られた御遺影のお写真をご覧になったご家族様が、

「良い写真になったなぁ。」

とお話しされているのを聞き、私も嬉しく思いました。

体格の良さもあり、少し強面に見られる事もあった故人様。ご家族様への深い愛情と、周囲の方々への心配り、その両方を併せ持つ優しいお人柄だったそうです。

お酒と甘い物がお好きだと伺い、ビールとおはぎをお供えにと、ご用意させていただきました。

お式の前には、故人様のお孫様がたくさんの折り紙を折ってくださいました。

お式は、ご家族様だけでとのご希望で、ご家族様10名でのお別れとなりました。

お式が終わり、お花入れでは、お顔を明るく照らすようにひまわりの花がお顔まわりに納められました。

「ありがとう。」

「大好き」

「お疲れ様。」

ご家族様のお言葉と共に、お供えさせていただいたビールやおはぎ、折り紙、写経の書かれたノートがお柩へと納められました。

一つ一つ、丁寧にお柩へとお納めされているご家族様のお姿に、ご家族様の故人様を思う優しいお気持ちが感じられました。

ご閉棺の前、お別れを惜しむ様に何枚も故人様のお姿をお写真に収めていらしたご家族様。

その瞳には、涙が浮かんでいらっしゃいました。

蝉時雨が降る中、ご出棺をお見送りしながらご家族様の深い愛情を感じられるお式だったと思いました。

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たくさんの花で飾られた、祭壇には穏やかなご表情を浮かべる故人様のお写真が飾られました。
お写真の中には、一輪の牡丹の花。
故人様が大切に愛情を込めて、お育てになっていたそうです。
「スタッフの方から提案されて、牡丹の花を一緒に写真に入れてもらったんです。
良い写真になりました。」

御会葬に来られた方々へご長女様がご説明されているお言葉に、私も嬉しく思いました。
喪主をお務めになられたご長男様は、お式が始まるまでずっと静かに祭壇のお写真を眺めていらっしゃいました。
葬儀式の朝、ご長女様に
「折り紙を折られませんか？」
とお声がけさせていただきました。
すると、
「久しぶりすぎて。折れるかしら。」
と返事を返され折り紙を折り始めてくださいました。
しばらくすると、
「中に手紙を書いて、鶴を折りました。兄さんにも書いてもらったんで、後で柩に入れて良いですか？」
とお声をかけてくださいました。
「もちろんです。」
とお応えし、お別れの際にお柩へと納めていただく様になりました。
お式後のお別れにて、お花入れの最後に、
「直接言うのは恥ずかしいから、手紙を書いたよ。」
「読んでね。」
そうお言葉を添えられ、たくさんの折り鶴がお柩へと納められました。
お言葉として伝えづらいお気持ちを、お手紙として伝えていただく事が出来て本当に良かった。と嬉しく思いました。

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