家族葬エピソード

「退院したら、カレーが食べたい！」
そのように、故人様が病院でおっしゃっていたと奥様から伺いました。
60代の男性の方のお別れでございました。

「主人がずっとそう言っていたので、今朝作って来ました。」
ご主人の傍にそっとお供えされていたのは、美味しそうなカレー。

ご夫婦二人、いつも寄り添い、支え合い日々を過ごされて来た毎日。
退院出来るものと信じておられた奥様。
突然急変されて、何もかもあっという間だったと仰っておりました...
「まさか、こんな急に別れがやって来るとは...」
心の整理もつかないまま...深い悲しみと共に未だに信じられないご様子でした。
常に気を張っている様子の奥様。
ご弔問の方への対応などで、時折、疲れたご様子も見受けられました。

ふとした時に、いつも一緒にいたご主人様が居ないという現実に戻る悲しさ...
奥様の深い悲しみを感じられたお別れ、そしてとても切なく寂しいお見送りでございました...

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今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は90代の男性の方でございました。
喪主様は同居されておられたご長女様がつとめられました。

60代まで僧侶として皆様に仏の教えを伝える役割を担って来られたとご長女様より伺いました。
故人様が生前より、
「自分が死んだら、家族だけで見送って欲しい。」
と、家族葬をご希望されておられたそうです。

「私としては本当はご近所の囲碁仲間の方や、今までお世話になった方に送って頂きたかったんですが、
父の強い希望なのでそうしてあげるのがいいのかなと...。」
と少し残念そうなお顔をされておられました。

物静かで、穏やか、皆さんに好かれた故人様。
声を荒げて怒ったりすることなく『怒られた思い出がない』とご長女様は言われておられました。

お花がお好きで『心が安らぐ』と言われていた故人様にご親族様がたくさんのお花を贈られ式場は、
お花で溢れていました。
祭壇に飾られた穏やかなお顔のお写真を見ながら、ゆっくりとお時間まで思い出話をされていました。

お式は深いお付き合いのあったお寺様が来られお経をあげていただきました。
お別れの時...皆様から頂いたお花と祭壇のお花でお柩は一杯になりました。
折り鶴もお声を掛けていただきながら納めて頂き、お好きだった和菓子もご長女様に入れていただき、
最後のお別れをしていただきました。
残暑の暑い日差しに蝉の声が鳴り響く中ご出棺となりました。

皆様に好かれた故人様。
『お疲れ様でした。』と、手を合わせてお見送り致しました。

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故人様は40代の女性の方でした。
お若いながら多岐にわたりご尽力されたのでしょう...
式場内には職場からのご供花に加え、職場以外の多くの方からのご供花も届き、
所狭しと埋め尽くされていました。
お参りにみえた関係者の方も多く、そのどなたもが深い哀悼の意を表されていました。

ご家族様もお辛い状況だったにもかかわらずとても気丈に、お参りにみえたお一人お一人に丁寧に挨拶をし、
お見送りをされておりました。

ひと段落ついた時...、そばに居たスタッフに、
「こんなに来てくれると思わなかったから...」
と驚きと共に感謝の思いをお話されていました。

お別れの時...、お柩の中の故人様にお花を手向けながら涙を堪えお別れをされているお姿に、
私達スタッフも胸が締め付けられる思いでございました。

出棺の時には沢山の方々にお見送りしていただき、ご家族様はとうとう涙を堪える事が出来ず...
泣き崩れてしまいました。
皆様に抱えられるように支えられながらも、深々と頭をさげ感謝のお気持ちを告げられました。
長い抱擁の後、意を決したように姿勢を整え、もう一度皆様に深く頭を下げ...ご出発されました。

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「母がお友達とこちらに一緒に来たことがあるらしくって...
こちらの式場を凄く気に入ってたのでこちらでお願いしたいと思って話しを聞きに来たんです。」
お見舞いに行った帰りにご相談に見えたとのことでした。
家族と近い親族だけでお見送り...看板なども出さずシンプルな葬儀をしたいとのご要望でした。
「まだ、全然大丈夫なんですよ～今すぐとかじゃないので。でも安心しました。
ありがとうございます。」
不安そうな感じは全くなく笑顔で帰って行かれました。

その３日後でした。
ご依頼の電話があったと聞き、お見送りしたときの笑顔と、
『まだ、大丈夫なんです。』
とおっしゃっていた言葉を思いだしました。

式場でお会いしたとき、
「こちらに話に来てからまだ３日ですから私もビックリしたんですよ〜こんなに早くって。
でも、相談に来て安心したのが伝わったのかも？って思ってるんです。」
と、言われ祭壇のお花の華やかさや、お写真に大変喜んで頂きました。

ご納棺師のお孫様がお化粧やお着替えをされ、
お見送りは、ご要望通り近いご親族様だけとなりました。
祭壇のお花を全てお柩に入れて頂き、お手紙や折り鶴も一緒に納めて頂きました。
お好きだった穴子寿司、焼酎をご覧になり、
「元気なときに食べさせたかったなぁ。」
と、後悔のお気持ちをつぶやいておられました。
ご出棺まで皆様お棺を囲んでゆっくりと思い出話をされたり、お写真を撮られたり...
最後のお時間を過ごされていらっしゃいました。

「ありがとうございました。相談に来ておいて良かったです。」
お車に乗って、笑顔で言われた二女様。

ご相談からお式のお手伝いまでご満足頂けるお見送りであったならいいなと、手を合わせ...
お見送り致しました。

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持って来られた紙袋には数え切れないほどたくさんの折り鶴が入っていました。
「ちょっと難しい病気だったから...二人で折ったんです。
早く良くなればいいなって...恥ずかしいわぁ。きれいな折り紙だけじゃないから...
チラシとか、包装紙なんかでも折ってるから。折れる紙と時間があれば娘と一緒に...。」
来られてすぐ駆け寄るようにお柩に向かわれてお顔を見てすぐに紙袋を渡され、
そうお話してくださったのは離婚された奥様と娘様でした。
ご納棺に間に合わず...一緒に入れて差し上げたかったとお聞きし、少しお蓋をずらして入れて頂きました。
「二人でね一生懸命折ったんだよ〜。もうゆっくり出来るね〜鶴に乗って天国に行ってね〜。」
ぽろぽろと涙を流されながら話しかけてお顔の周りへ、持ってこられた鶴を半分程入れていただきました。

今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は70代の男性の方でございました。
喪主様は県外にいらっしゃるご長男様がご家族と帰って来られつとめられました。
祭壇のお写真はご長男家族と一緒に取られた一枚でとても穏やかな笑顔で写ってらっしゃいました。
皆様大変喜こばれ思い出話をしてらっしゃいました。
本当に近い皆様だけでのお見送り。

お別れのとき...祭壇のお花は全て皆様にお棺の中に入れて頂き、持って来られた残りの鶴も、
お声掛けしていただきながら納めて頂きました。

「本当は最後に手を握ってお別れしたかったの...。」
別れた奥様がご出棺の時に言われたお言葉に別れてしまったけれど...
こんなに愛されて故人様はお幸せだなと思いながら出発したお車に手を合わせお見送り致しました。

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「自分で作ったお茶が一番おいしい。」
と、ご自宅の庭で育てていらっしゃったお茶を製茶して毎日飲まれていた故人様。
畑では、大根、白菜、なすなど季節ごとの様々な野菜を育てていらっしゃったそうです。

このたび、お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は90代の女性の方でございました。
喪主様はご長男様がつとめられました。
「とても働き者で、何があっても動じず、子供や周りの人にとても優しかった母です。」
と、ご長男様が教えて下さいました。

祭壇のお写真は、ご自分で育てられたお花の畑でお気に入りのニット帽をかぶったご長男様が撮られた一枚。
「何も飾らず、一番母らしい。ありのままの母です。」
と、とても喜んでおられました。

お式はご親族様だけで執り行われました。
遠方からもたくさんの方がお参りに来られお別れを惜しんでおられました。

お式の最後に喪主様のご挨拶がありました。
施設での生活が始まり一時帰宅でご自宅に帰るたびに、
『もう、施設には行きたくない』
と施設まで車で送っておられた息子様と奥様に泣きながら言われていたそうです。
そんなお母様を施設に連れて行くのは悪いことをしているようで忍びなかったと...
施設の職員さんにも
「家に帰りたいんよ。家がいいわぁ。」
と、たびたび言って困らせておられたと...
一つ一つの事柄を思い出されながらお話してくださり参列の皆様も涙を拭かれながら聞かれていらっしゃいました。

お別れのとき...
お柩にはたくさんのお花と皆様のお手紙、折り鶴、お好きだったやせうまをおさめていただきました。

ご出棺するお車をお見送りしながら喪主様がおっしゃった、
「もっと一緒に居てあげれば良かった。」
と言う後悔の言葉が胸に響いたお式でございました。

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何年もの闘病生活を支えてこられた奥様。
ご主人が亡くなられ、最初にかけた言葉は、
「私と結婚してくれてありがとう。とても、幸せでした。」
とお聞きしました。
真面目で仕事一筋でご家族を支えてこられたご主人へ感謝の言葉しか思い浮かばない...
と優しく微笑まれる奥様でした。

娘様達ご家族だけでのお見送りとなりました。
控室の前を通ると、奥様がご主人に話しかけられている声が幾度となく聞こえてきました。
言葉までは聞き取れませんが、「お父さん...」と言われているのはわかりました。
奥様のどうしてもお願いしたいということが二つありました。
ご出棺後、自宅の前を通って欲しいというのが一つ。
5年間一度も自宅に戻れなかったから、是非お願いしたいということ。
もう一つは、仕事を退職するときに記念にと桜の木を植樹した。
元気なときは散歩の途中、植えた木の成長をとても楽しみに見に行っていた。
その木の前も通って欲しいと言う事でした。
もちろんご希望通りにさせていただきました。

火葬後、娘様達が会館に戻ってこられ、
「わがままな母の希望を叶えてくれてありがとうございました。
ほんとは、沢山わがままいったんでしょ？すみません...
本当にありがとうございました。」
とおっしゃっているお顔は満面の笑みで、お母様を大事にされているんだな...
と温かい気持ちにさせていただきました。

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真面目で普段は口数は少ないけれど、ユーモアを交えながら話してはみんなを笑わせるのが大好きでいらっしゃった故人様。
子供様の試合には必ず足を運び熱い声援を送るなど、深い愛情でご家族を支え大切に守ってくださいました。

定年を迎える頃に病が見つかり、以来病と上手く付き合いながら日々を過ごしてこられました。
晩年は長期入院を余儀なくされ、コロナ禍の影響もあり面会が叶わず、故人様はもちろん、
ご家族様もとても辛く寂しい思いをされてこられたそうです。

奥様は共に歩んだ歳月を振り返り、言葉にならない無念さと寂しさが込み上げるように別れを悲しみました。
今も瞼に浮かぶのは、故人様が楽しそうに笑っているお姿だといいます。
溢れる笑顔や優しい声、温もり、その全てをしっかり胸に抱いているように感じました

長く苦しい闘病生活の中でも、最後まで諦めることなく家族の為に精一杯命を繋いでくれた故人様へ、
ご家族様から心からの感謝の想いが捧げられました。
お花に包まれた故人様のお顔を、おひとりおひとりが優しく撫でられ...
「よく頑張ったね」
「本当によく頑張ったよ...お疲れさま」
労いのお言葉とともに、ご家族のぬくもりに包まれながらの旅立ちでした。

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故人様は90代の女性の方でした。
3人のお子様達は、遺影写真にするお写真を、
「これ良くない？」「これは笑ってないからな〜」「これ好きな服着てるわ！」
等と、とても和やかな様子でお選びになっていました。
しばらく悩んだ末に、一枚のお写真を担当者に渡しました。
それは、綺麗なピンクのカーディガンを羽織り、とても嬉しそうに笑っていらっしゃるお写真でした。
仕上がった遺影写真をお見せすると、皆さまも同じ様に感じたらしく、
「この写真にしてよかったね」
と大変喜んでいらっしゃいました。

お柩の中の故人様もうっすらと頬が色づき、遺影写真とあまり変わりないお姿でした。
最近は施設で過ごされ、前日までお元気だったと施設の方も驚きを隠せないご様子でしたが、
当日は眠る様にその時を迎えたと、苦しむ事がなかったことを安堵されていました。

喪主様のご挨拶でもその事に触れておられ、
「痛みも苦しみもなく、眠ったまま静かに旅立ちました。
最近は私達のことも分からなくなっていましたが、おおらかな性格は変わらず私達を和ませてくれていました」
と、在りし日の個人様を偲ばれていました。

ご出棺の時も皆様のご様子は変わらず、穏やかに私達スタッフに手を振り出発されました。

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故人様は80代の男性の方でした。
温和な長女様と次男様でしたが、喪主の長男様はずっと硬い表情をされていました。
お参りの方々から話しかけられるものの返答がない様子に、次男様がかわって対応されていました。
通夜の日は終始そんな様子で、なにか不満に思ってらっしゃるのだろうか...と不安をいだきつつお別れしました。

葬儀の日の朝、ご挨拶に伺うと昨日と変わらず温和な長女様と次男様がいらっしゃいましたが、
気になっていた長男様は不在でした。
遠方から式場におみえになるご親族様を空港までお迎えに行かれたとの事でした。
開式には間に合いましたがお疲れだったのか、お焼香にご案内した際、ぐっすりと熟睡されていました。
奥様から促され少しバツが悪そうに焼香に進まれたのが印象的でした。
それからは少し柔らかい表情の喪主様でした。

出棺の時、皆様にお荷物の移動を促しながらスタッフも荷物を移動するお手伝いをしていると、
喪主様が走っておみえになり「すみません」と私の抱えている荷物を受け取ってくださいました。
実はお話するのはその時が初めてで、少し驚きながらお顔を拝見すると優しく微笑んでいらっしゃいました。
（緊張と疲れで硬い表情をされていたんだな...最後になったけれど、少し気持ちが解れて良かった）
と思いながらお別れ致しました。

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