家族葬エピソード930：「なんで死なせてくれない」：家族葬エピソード｜【公式】大分市・別府市・豊後大野市での家族葬・葬儀・葬式なら備庵（ビアン・びあん）・判田台会館

家族葬エピソード930：「なんで死なせてくれない」

一度目にご相談にみえられたときに、
「母は後二、三日と先生に言われました、意識のあるうちにお別れをされてくださいと...
なので、今までありがとうときちんとお別れをしてきました。」
とおっしゃいました。そのうえで、ご葬儀のご相談となりました。
少人数での見送りですが、お経はあげてもらいたい、とのご希望でした。
次におみえになったとき、前とは少しご様子が違い頭を抱えられていました。
どうしたのかとお尋ねすると、
「実はあれから急に目を覚まし、どうしてまだここにいるん？なんで死なせてくれなかった？と叫ばれて...」
とかなり鎮痛な表情をされておりました。
息子様自身も、覚悟を決めお別れをされていたのでお母様ももちろんですがかなり複雑なご様子でした。
「自分の親がなんで死なせてくれないと叫ぶんです。やりきれないです。」
というお言葉になんと声をおかけしたらよいかわからず、まどまだ未熟な自分を情けなく感じました。

それから三日後...お亡くなりになられたと連絡がありました。
息子様に会いに行くと、
「あれからは苦しむことなく眠るように息を引き取りました」
と悲しい気持ちも当然ながら...どこか安心されたご様子でした。

ご遺影の写真はお孫さまのお宮参りの時の仲睦まじいお写真。
「キレイな黄色のスーツがとても似合っていました。この頃、バリバリやったよね」
と兄妹で昔を思い出しながら懐かしんでおられました。

「色々ありましたけど、きちんと見送りできてよかったです。母も喜んでると思います。」
とおっしゃっていただき、初夏の風を感じながらのご出棺となりました。