家族葬エピソード481:「ずっと、鰻を食べたいって言ってたもんな」

故人様は、70代の男性でした。

喪主をお務めになられたのは、奥様でした。

思い出コーナーに飾られた、お孫様の七五三の際に撮られたご家族様の集合写真では、紋付羽織袴姿の故人様が優しいご表情で座っていらっしゃいました。

そのお写真で御遺影のお写真をお作りする事となりました。

ラグビーをされ、いつも一生懸命にプレイされている故人様のお姿に、ご家族様はいつも頼もしさを感じられていたそうです。

そんな故人様に憧れて、お孫様もラグビーを始められたと、ご家族様がお話しをしてくださいました。

ご弔問に来られた、たくさんのご友人様方が、お柩で眠る故人様をご覧になり、

「今でも、走っていた姿が目に浮かぶわ。」

「こんなに細くなって。」

と、目を赤くされておっしゃっている様子を拝見し、私もお別れの悲しみに胸が苦しくなる思いでした。

お式は、ご家族様だけで執り行われました。

お供えにご用意させていただいたのは、故人様が大好きだったと伺った、鰻。

「ずっと、鰻を食べたいって言ってたもんな。やっと食べれるね。良かったな。」

お別れのお花入れ時、ご一緒にお柩へと納めていただいた際、ご家族様から溢れたお言葉でした。

ゆっくりとお別れをしていただき、ご家族様皆様の手で、お柩の蓋が閉じられました。

たのもしく、温かくも大きな存在だった故人様のお姿が、これからも皆様の胸に残り続けるのを感じられたお式となりました。