家族葬エピソード361:「できるだけ奥様をそっとしておきましょう」

故人様は50代の男性でした。
病発覚から約3ヶ月でのお別れでした。

奥様はまだまだ実感がなく、ご家族様もまた同様でした。
葬儀の打ち合わせをしている間も時々談笑され淡々と話は進んでいきました。

「大丈夫だろうか...」心配になり何度もその表情をうかがっていたものの、最後まで変わりなくその日はお別れしました。

次に私が奥様にお会いしたのは葬儀の日の朝でした。
すでに式場で待機されていた皆様に挨拶に伺うと、奥様だけ放心状態になっておられ、とても話しかけられる状態にありませんでした。

椅子に腰掛け項垂れる奥様。
他のご家族様もそんな奥様を目の当たりにし、かける言葉がみつからないようでした。

このまま最後まで大丈夫だろうかと心配でなりませんでした。
「できるだけ奥様をそっとしておきましょう」
スタッフ全員でそうはなし、少しずつお式の準備をはじめました。

式場も整い、お寺様もお迎えし、
「では奥様。お寺様にお話に参りましょう」
とお声をかけた時、ようやく奥様と目が合い、その時はじめて吹っ切れたようにみえました。

「はい」
と立ち上がり颯爽とお寺様の元に向かいおはなしされていました。

今回のお式では、とても奥様と打ち解ける関係にはなりませんでしたが、少しだけお元気になられて良かったと思いました。
もう一つ、ご親族の方々が私達スタッフにいろんな事を尋ねて下さった事(奥様のアシストができた事)が、とても嬉しく思いました。