家族葬エピソード286：「かぐや姫」：家族葬エピソード｜【公式】大分市・別府市・豊後大野市での家族葬・葬儀・葬式なら備庵（ビアン・びあん）・判田台会館

家族葬エピソード286：「かぐや姫」

「母は急な形で亡くなりました。
だけど突然の事で動揺してしまい、亡くなった実感がないんです。
あれっ？どうしたの？そのような感情でした。
母が亡くなった夜...満月でした。
寒くて、風も強くて、だけど月は綺麗な満月でした。
そんな月を見て...母はかぐや姫になったんだと思いました。
少し可笑しいんですが、母は生前から、
『私はお姫様だった』
って言っていました。
子供の頃からそのように聞かされていた私達は『へぇ?』と思っていました。

今、安らかに眠ってる母を見てくださいましたか？
本当にお姫様のようです。
びっくりするくらいに、綺麗で...。
明日の葬儀では、気持ち良く見送ってあげたいと思っています。」

喪主を務められた長女様の通夜の最後のご挨拶。
とても気丈に振る舞われていたのが印象的でした。

「本当なら弟が喪主をする予定だったのですが、県外から帰って来れず、私がする事になりました。」
と力強く仰っていました。
と、同時に不安でいっぱいな様子を感じられました。

葬儀の日も何かと慌ただしい感じでした。
喪主様の息子様が、都合が付かず、火葬場まで一緒に行けない状況でした。

「息子も最近母に会えてなくて。それだけでも寂しいのに、お骨も拾えないなんて...」
と喪主様が悲しそうに仰っておりましたが、急遽、息子様も葬儀後、火葬場まで一緒に行ける様になり、喪主様は涙を流して喜んでおりました。

その姿を見て、「本当に良かった。」と心から私も思いました。

最後のお別れも納得のいくまでゆっくりとしていただきました。

霊柩車にご乗車された喪主様は、また涙を流しておりました。

冷たい風の吹く青空の下、ご出棺となりました。