家族葬エピソード131:「母の花壇の鮮やかな紫陽花を祭壇に」

故人様の遺影写真はお花の背景に華やかなお洋服に身をつつまれていました。

初めて遺影写真を目にしたご親族様は「あらーキレイねー」と口々に仰っていました。
ご遺族様は「お花が大好きだったからこれにしてもらったの」と嬉しそうでした。
その後も式場に到着された方が口々にに「この写真はいいねー」「こんな風にも出来るんやね」と感動していました。

『子供達が巣立ったからこれからは大好きな花々を育てるため花壇の手入れをする』そう言っていた故人様。
そんな矢先、病気が見つかったそうです。
それでも好きな園芸を励みに今までがんばってこられました。
「どんどん身体が思うように動かなくなり悔しい思いをしたと思います」と辛い表情をされる娘様でした。

次の日、その長女様が立派な紫陽花の花を数本握りしめて式場におみえになりました。
頬を紅潮させ「綺麗に咲いたの!母の花壇の花」と少し興奮気味でした。
朝露に濡れ輝く紫陽花は本当に綺麗でした。

「すごく綺麗ですね!」と言うと、「そうでしょ!今までこんなに咲いた事なかったのよ!でも、これお柩に入れて良いのかな?」と気にされていました。
「もちろんです。でも、その前に飾ってお供えしませんか?」と伝えると、「いいの?そうしたい!」ととても嬉しそうでした。

お別れの時。
お柩の中には祭壇の色とりどりの花と、お母様が生前大切に育てられた紫陽花がおさめられました。
まるでこの日のために鮮やかに咲いたような紫陽花の花。
お母様と一緒に旅立つために...。

ご遺族様もスタッフも心があたたまるお葬儀でした。