白を基調とした花祭壇の前でずっとお写真を見ている奥様。
故人様は奥様のご主人でした。
「祭壇の花がとても良い感じにして頂いて...ありがとうございます」 と仰っておりました。
他にも沢山の生花があり、「こんなに派手にするつもりは無かったのですけど、いいものですね」と話されておりました。
祭壇前の経机には、甘い和菓子やバナナ、お酒もお供えされていました。
「ご主人様は、甘い物やお酒が好きだったのですか?」とお聞きすると、「沢山は食べれなかったけれど...好きな物ばかりです。お酒はそんなに強くはないけれど、好きでした。ただ、このバナナは... 食べないけれど、私が置いちゃいました」と話していました。
その後も、お式までお時間はあったのですが、
奥様は何度も式場へ来て、祭壇を眺めておりました。
机の上には、沢山の橋のお写真なども一緒に飾られていました。
同じお写真が柩の中の故人様のお身体のそばにも置かれていました。
奥様にお伺いした所、故人様が定年後まで橋を作るお仕事をされていたようで、そのお写真が何枚も一緒に飾られておりました。
「とても立派なお仕事に就かれていたのですね」と話しながら、故人様が携わったお仕事の話や、ご夫婦で色々な場所へ出掛けていた話などをお伺いしました。
ひとつひとつ、思い出しながら、嬉しそうにご主人様の話をされる奥様。
長い間連れ添い、ご主人への感謝の気持ち、そしてとても大切にされていたのだと私は感じました。
お式の最後に奥様より皆様へお礼のご挨拶がありました。
その中で、ご主人が仕事を退職されてから3年後に肺ガンが発覚した事。
治療はしたものの、11年後に再発した事。
涙ながらに話されていました。
「最後は私の手を握り...... ありがとう。の言葉が最後になりました」涙と悲しみを堪えながらのご挨拶でございました。
奥様の精一杯のお言葉に、計り知れないお悲しみを感じました。
ご出棺の際には「ありがとうございました」と仰ってくださいました。
少しでも、ご家族様の心に寄り添う事が出来るよう、これからも努めて参ります。
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